Amazonフレックスは、個人事業主がAmazonと契約して業務を請け負います。一般的な宅配業とは異なる自由な働き方は、副業としても注目を集めつつあるでしょう。
そこで今回は、Amazonフレックスを始めるために必要なものや登録手続きの方法について詳しく解説します。また、初心者が注意すべきポイントも紹介するため、ぜひ参考にしてください。
目次
Amazonフレックスとは
Amazonフレックスとは、Amazonの荷物を配達する仕事です。以前はヤマト運輸を中心に配達を請け負っていましたが、配達員に負荷がかかったために新しい働き方として誕生しました。
なお、配達員の登録に必要な条件には「本人の年齢が20歳以上」であることと「普通自動車免許」を所有していることが公式サイトに記載されています。
ただし、条件を満たしていても登録の際に用意すべきものもあるため事前に準備しておきましょう。
Amazonフレックスの始め方1:始める前に用意するもの
登録に必要なものとして、以下が挙げられます。
- 配達に使用する車両
- 必要書類
- 道具類
それぞれ詳しく解説するため、配達員として登録する前に準備しておきましょう。
配達に使用する車両
Amazonフレックスを始めるには、使用者として本人登録されている営業用ナンバーの軽貨物自動車が必要です。なお、軽自動車の営業用ナンバープレートは黒地に黄色い文字で書かれているため「黒ナンバー」とも呼ばれます。
配達に使用する車両は、「荷室長、荷室高、荷室幅の合計が4,000mm以上のワンボックスタイプまたは同等の車両」で、最大積載量が350kg の貨物軽自動車と定められています。さらに、「自賠責保険」と「対物1億円以上、対人無制限の任意保険」の加入が必要です。
必要書類
Amazonフレックスに登録する際に必要な書類には、以下が挙げられます。
- 運転免許証
- 車検証
- 貨物軽自動車運送事業経営届け出
- 自賠責保険証
- 任意保険証書
- 就労資格確認、本人確認書類
書類は、Amazonフレックスアプリ内から提出します。
道具類
道具類は「用意すべき道具」と「必須ではないがあれば便利な道具」の2種類に分けられます。
【用意すべき道具】
・スマートフォン
配達荷物のデータはスマートフォンで処理するため、必須アイテムといえるでしょう。配達先の住所が不明なときや再配達の在宅確認などでは、顧客との通話で使用することもあります。
・モバイルバッテリー
Amazonフレックスのアプリを稼働させながら配達業務を行うため、バッテリーを消耗します。配達中にバッテリー切れを起こさないように用意しておくべきでしょう。
・Bluetoothのイヤホン
運転中に携帯電話を手に持って通話することは道路交通法に触れるためBluetoothのイヤホンが必要です。なお、走行中はスマホの画面は触らず、停止中に操作を終わらせておきましょう。
・台車
配達先が集合住宅やタワーマンションで1度に多くの荷物を運ぶときに役立ちます。強風や傾斜でも動かないブレーキ付きの台車を選ぶとよいでしょう。なお、車両に積み込みやすいように「折りたたみ」の台車を選ぶことがおすすめです。
・クリップボードとボールペン
配達を完了した証拠として依頼主から署名を記入いただく必要があります。ボールペンがない場合は、証拠が残らないため必ず用意しましょう。また配達エリアや時間によっては、不在票が溜まるためクリップボードも用意すべきだといえます。
【必須ではないがあれば便利な道具】
・車載スマホホルダー
スマートフォンをカーナビとしても使用する場合は、車載スマホホルダーがあると便利です。マグネット式で簡単に扱えるタイプがよいでしょう。
・バックミラーモニター
多くの荷物を積んでいると、後方が見えにくいこともあるでしょう。バックミラーモニターを設置していれば、広い視野で確認できるため後方確認に便利だといえます。
・ドライブレコーダー
昨今では、あおり運転などの交通トラブルのニュースが多く散見されています。ドライブレコーダーがあれば、万が一の際に証拠としての記録が残るためできれば設置することがおすすめです。
Amazonフレックスの始め方2:手続きについて
必要な書類や道具が準備できれば、登録手続きに移りましょう。以下では、手続き方法について解説します。
運輸支局と軽自動車協会に書類を届け出る
営業ナンバーを持っていない場合は、所轄の運輸支局と軽自動車検査協会に出向いて取得します。取得手順は下記の通りです。
1.運輸支局に下記の書類を提出する
- 貨物軽自動車運送事業経営届出書
- 事業用自動車等連絡書
- 運賃料金表
- 車検証
書類の内容な問題がなければ、事業用自動車等連絡書に判子を押してくれます。届出書と連絡書は運輸支局に用意されていますが、ネット上からダウンロードすることも可能です。
2.軽自動車検査協会で下記の書類を提出する
- 押印済みの事業用自動車等連絡書
- 前後のナンバープレート
- 車検証の原本
- 印鑑
特に問題がなければ、30分ほどで営業用のナンバーが発行されます。発行手数料は軽自動車検査協会に問い合わせてください。
3.発行されたナンバープレートを車両に付ける
ナンバープレートを車両に取り付けたら、すべての手続きは完了です。軽自動車の営業ナンバー取得は許可制ではなく届出制であるため、初めてでもスムーズに進められるでしょう。
任意保険に加入する
Amazonフレックスを始めるのであれば、任意保険の加入は必須です。対人無制限・対物1億円以上の保険に加入していないと業務委託契約を結べないため注意しましょう。
アプリをダウンロードして登録する
Amazonフレックスの専用アプリをダウンロードして必要事項を入力します。大まかな入力手順は下記の通りです。
- 配送希望エリアを選択する
- 参加要件を確認して同意する
- 個人情報を入力する
- 必要書類の確認・撮影とアップロード
- 加入している自動車保険の要件を確認する
- 税務情報を入力する
- 給与の振込口座を登録する
- 説明動画を視聴する
- バックグラウンドチェック
登録を終えた後は、Amazonフレックスからの連絡を待ちましょう。バックグラウンドチェックは通常1~3営業日で結果が出ますが、2~3週間かかる場合もあります。3週間が過ぎても連絡がない場合は、サポートセンターに問い合わせてみましょう。
Amazonフレックスの報酬システム
Amazonフレックスは、決められた時間帯を1ブロックとして働きます。例えば、「14時~21時の7時間=1ブロック」というような形式です。報酬はあらかじめ各ブロックで決まっているため、時間内に規定の荷物数を配達することで報酬が得られます。配達数に応じて報酬が変動するわけではありません。
ブロック | 報酬 |
4時間 | 8,000円 |
6時間 | 12,000円 |
8時間 | 16,000円 |
6時間ブロックを20日間稼働した場合の月収例は下記のようになります。
12,000円×20日間=240,000円
Amazonフレックスだけでも毎日稼働すればかなりの報酬になりますが、週に50時間までと決まっているため受け取れる報酬には上限があります。
なお、時間よりも早く配達が終わった場合は、その時点で仕事が完了したことになります。早く終わっても報酬はアップしませんが、空き時間を使って別の副業をすることが可能です。
Amazonフレックスのメリット・デメリット
Amazonフレックスを始める前に、メリットとデメリットも確認しておきましょう。
Amazonフレックスのメリット
働き方の自由度の高さは、Amazonフレックスのメリットといえるでしょう。用事があるときなどは2時間からのブロックを選択して稼ぐことも可能です。ガッツリ働きたいときは、8時間の長いブロックを選択できます。このように、自分の都合に合わせて稼働時間を選べるのは大きな魅力といえるでしょう。なお、勤務中の服装にも制限がなく、基本的に1人で働くことになるため、人間関係に悩まされることもないでしょう。
また、AmazonフレックスはAmazonが個人に対して業務委託契約を行うため、働いた分の報酬をしっかりと得られます。
Amazonフレックスのデメリット
Amazonフレックスのデメリットは「オファーを獲得しにくい」という点が挙げられます。仕事をする前にアプリでオファーを獲得する必要がありますが、競争率が高いことから困難であり、働きたい日に働けないといったこともあるでしょう。特に都市部になるとオファーを取ることが難しくなります。
また、Amazonフレックスでは、決められた荷物を時間内に配送する報酬制を採用しています。歩合制ではないため、時間内に配達する荷物が増えても報酬は変わりません。
Amazonフレックスでの配達に必要なガソリン代や保険料は、すべて自己負担となります。しかし、このような経費が自己負担になるのはAmazonフレックスだけではなく、諸経費込みの報酬額が設定されているため、それほど気にする必要はないでしょう。
Amazonフレックスを始めた後の注意点
Amazonフレックスの仕事を長く働き続けるには、注意すべき点を理解しておく必要があります。以下にてそれぞれ解説するため、Amazonフレックスで働く前に確認しておきましょう。
アカウント停止に直結するミスを防ぐ
Amazonフレックスは、アカウント停止措置が取られるとオファーを獲得できなくなります。アカウントの停止はメールで突然通告されるため、「急に働けなくなる」という事態に陥るでしょう。アカウント停止になった場合、基本的には再登録はできません。
アカウント停止となる主な原因は、下記の5つです。
- 24時間以内のオファーキャンセル
- 未配が多い、配達完了率の数字が悪い
- クレームが多い
- 遅刻が多い
- 交通ルール違反
1回のミスで即アカウント停止になることはありませんが、多発すると「ある日突然アカウント停止」ということになりかねないため注意しましょう。
大規模マンションに行く場合は時間に余裕を持たせる
大規模なマンションは入口や宅配ボックスの場所がわかりにくいことも多いため、時間に余裕を持たせましょう。宅配ボックスの場所がわからなかった場合は、管理人や住人に聞くことがおすすめです。どうしてもわからないときは、サポートセンターに連絡して聞きましょう。
宅配ボックスの使い方はボックスに使用方法が書いてあるため、しっかりと読んで対応することが大切です。宅配ボックスに荷物を入れたら、配達票を書いてポストに投函してください。
自動取得ツールは使わない
オファーが取りにくいことがあっても、「オファー自動獲得ツール」の使用は避けましょう。SNSなどでは自動取得ツールが出回っていますが、Amazon側もツールの存在には気づいています。そのようなツールを使って不正にオファーを獲得すると、アカウント停止などの措置を取られる恐れもあるため注意が必要です。
Amazonフレックスの初心者でよくあること
ここからは、Amazonフレックスでよくあることを解決方法と併せて紹介します。自身で体験する可能性もあるため、スムーズに対応できるようにぜひ参考にしてください。
どこに駐車したらよい?
配達先に着いた際に、駐車場所に迷うことがあります。そのような場合は、通行の妨げにならない場所に車両を停めましょう。駐車禁止スペースに停めることは、道路交通法の違反となり罰金および違反点数が加算されます。そのため、駐車する際は標識を必ず確認することが大切です。
荷物を積んだ場所がわからなくなる
複数の荷物をまとめて配達する場合、車両の荷台に積まれた多くの荷物の中から配達物を探すのに手間がかかります。このようなことを繰り返していると配達に時間がかかってしまい非効率になるため、配達の順番に合わせて荷物を積み込むといった工夫をしましょう。
初めは難しいかもしれませんが、慣れてくると荷物を効率的に積む方法がわかるようになり、効率よく配達が行えます。
まとめ
今回、紹介したようにAmazonフレックスの始め方は決して難しくありません。営業用ナンバーを持っていない場合は取得に多少の手間がかかりますが手続きは容易といえます。
配達に使う車両以外にも用意しておくべき道具や、配達の際にあると便利なアイテムをチェックしておけば、スムーズに配達できるでしょう。
報酬は配達する荷物の個数に関係しませんが、早めに配達が終われば新たに副業を行うことも可能です。慣れてくれば自分のペースで自由度の高い配達ができるようになるでしょう。ただし、Amazonフレックスはオファーを獲得しにくいというデメリットがあります。安定して稼ぎたいという人は、フードデリバリーサービスと合わせた稼働を検討してみるとよいでしょう。